ハナサカじじぃ

すぐ目の前の金丸公園に、つい先頃までとても迷惑な輩が来ていた。何処から持ってくるのか、公園のすぐ脇の空き地に大量のパンの欠片をばらまいていくのだ。多いときには1日に2度、3度とばらまきに来る。

画像は公園のすぐ脇にある新築の家だが、餌待ちの鳩やカラスのたまり場となり、気の毒なことに、たまった糞で雨樋はもはやほとんど機能してないだろう。周りの道路も鳩やカラスの糞だらけ。さらにジイさんが餌を持って現れる時には、100羽以上の鳩やカラスが狂喜乱舞、ちょっとたまったもんではない。そのうち、小さい子どもが襲われでもするんじゃないかと心配になるやら、うるさいやら。

少し前、見るに見かねて役所に対応をしていただくように連絡したことがあったが、どうやらあちこちから相当苦情が来ていたらしく「あぁ、あの方ですねぇ(汗)」と役所も苦労している様子だった。

ハナサカじじぃだいたい、はっきりと「餌をやらないように」と書かれた看板のすぐ脇からにパンを撒いているわけで、役所の注意書きなど蛙の面に小便という風情。

このじいさん、なかなかガッツがあるというか一筋縄ではいかない。自分が花咲かじいさんにでもなったつもりか、真冬の雪の降る日も、雨の日も欠かさずやってきては餌を撒く迷惑行為を止めようとはしなかった。

先月、アミを張っていたのか、餌を撒きに来ていた現場で、役所の?担当者数名に咎められ、そのうち、警察もやってきてすったもんだの立ち回りの末に、とうとう連行されていった。

やれやれ、これでどうやら一件落着かと思っていた。

ところが・・・
あろうことか、その翌日には性懲りもなく餌のパンを持ってやってきた。おぃ、おぃ・・(汗)

また空き地に撒くのかと思って遠目に見ていたら、何を思ったのか今度は公園の入口の脇に、ひっそりとパンくずを固めて置きだした。空き地は個人所有地だから罪になるとでも云われたかどうかわからないが、公園だって立派な条例違反だぜ。ばらまけばまた鳩やカラスがやって来て、糞をまき散らす事態に変わりはない。

ハナサカじじぃ 「よし、片付ける!」

とうとう堪忍袋の緒を切らしたカミサンが、たまったパンくずの掃除に出かけた。それならばと私は役所へ連絡して、回収したパンくずの処理をお願いする。何度かの回収作業でたまったパンくずはその日のうちに役所から引き取りに来た。

役所の担当の人は申し訳なさそうに頭を下げて行かれたが、役所の対応では間に合わないので警察署へ連絡を入れるよう、頼まれた。役所と警察の連携は出来ているという。

「見つけたら即、回収。それしかないっしょ」

権ベエがタネ撒きゃ・・・じゃないけど、せっせと片付けること数日。カミサンの努力のおかげで鳩やカラスはぴたっと居なくなった。あのオヤジと正面切って喧嘩するわけにもいかぬ。確かにこれしか方法はないかも?

せめて、掃除しているところを鉢合わせしなきゃいいがなと思っていたが、ある時、掃除しに出かけたカミサンがなかなか戻ってこない。予約客の夕食の支度でちょっと手が離せず、様子を見にも行けずで何かあったのかも?と気をもんでいたら、その日大学の野球部が練習休みで散髪に行っていた息子が戻ってきた。

「おかん、公園におらんやったや?」
「おったよ、何かおっちゃんと話しよった」
「はぁ?」

餌撒きの迷惑行為に対する普段のカミサンの非難ぶりから、もしやあのじいさんと大立ち回りでもしでかして居るんじゃないかとの私の心配を余所に、ただ何か話していた風だったとのたまう息子。様子がつかめないので、もしもの助け船にでもなればと、取りあえず呼んでくるように云って図体のでかい息子を向かわせると、程なくしてカミサンは戻ってきた。

「どげんした?」
「ん?もちろん、警察呼んだわよ」

やはり、パンくずを片付けているときに戻ってきたじいさんとひと悶着あったらしい。心配していた大立ち回りには至らなかったらしいが、かなりの言い合いだったことは想像に難くない。

「俺が餌ばやらんやったら、鳥がかわいそかろが」
「おっちゃん、そりゃいらん世話!鳥にとっても良いこと無いよ。鳥はお山に帰るとよ。見てごらん、もうぜんぜんおらんやろ?」
「ばってん・・・」
「ばってんも何もなか、見てんね、あちこち道路の糞の跡!誰が掃除すると?」
「・・・・」
「あんまりこげなことしてると、会社クビになるよ」
「もう、なった」

このじいさんTAXI運転手で、実際に餌をばらまきに来るときにもそのTAXIで来たりしていたから、モロバレ。度を超した振る舞いに周辺住民のクレームが会社にもかなり寄せられたのだろう。最近乗っているTAXIがM社から別会社に変わったなあと思っていたら、やはりそういうことだったのか。

戻ってきたカミサンに一通りいきさつを聞いてみると、ことさらに自分の素性を隠そうともしないし、やはりそんなに悪人ではないらしいことはよく解るのだが、それでもこの餌撒きを肯定するわけにはいかない。餌にするパンは何処からかもらってでも来ているのかと思っていたが、どうやら自分でお金を出して買ってきたものだと云う。何がそこまでさせるのかわからないが、世間にゃいろんな輩が居るモンだ。

結局その日はやってきた警察に事情を説明して引き渡し?、取りあえず一件落着。

役所に咎められても、警察に連行されても迷惑行為を止めなかったあのじいさん、今度もたしなめられたこと自体は屁とも思ってないだろうが、ばらまいてもすぐに回収されてしまう無力感は充分に感じただろう。

あれから数日、迷惑な花咲カジジィの姿はぴったりと見えなくなった。たぶん、ここではない何処かで相変わらず餌を撒いているのかも知れないが、少なくともこの公園に来ることはないだろう。


まだ遠くにカラスの鳴き声が聞こえたりするが、不気味な大量のカラスの来ない公園で今日は子ども達が元気に走り回って遊んでいる。

オカアチャン、今回は感心したよ。俺が出向いていたら思わず手が出て、今頃じいさんと一緒に警察のやっかいになっていたかも知れぬ。その度胸の良さとネゴシエーション力はたいしたもんだ。

「口でアタシに勝とうと思う方がまちごうとる」

確かに(爆)

ハナサカじじぃ


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