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水の祭典がはじまった昭和47年から、永くまつりのデザインを請け負って来たデザイナーの納戸 健次さんが亡くなられた。まだ72才。水の祭典は今年が47回、春先に打ち合せをした時には「納戸さん、後3年、50周年まで頑張りましょう!」と云ってたのに、それも叶わないことになりました。

訃報を聞いた日、新聞社から取材が入ったけど、記者の問いかけに答えているうちに次から次へと納戸さんの優しい笑顔が思い浮かんで来る。若い記者には「くるっぱ」の生みの親的なイメージしかないようだったが、わたしにとっては水の祭典こそが納戸 健次そのものだった。

色々と思い出話はあるのだが、某冊子の表紙デザインを飾っていた納戸さんの絵が、あるとき写真ベースのデザインに変わっていた。「納戸さん、絵を描いてくださいよ。写真のレイアウトは誰でも出来る。納戸さんの絵が見たかです」と、偉そうに云っていたら、次の号からまたきっちりと納戸さんの絵が表紙を飾るようになった。

葬儀の会場にはNewYorkデザインオブイラストレーターズ国際部門金賞受賞の作品他、納戸さんの輝かしい経歴と作品の一部が展示してあったけど、やっぱりまつりが一番、納戸さんらしい。

「今村くん、ありがとうね。あんたがおってくれたけん、よかった〜。よろしく頼んどくばい」

最近は、会う度にそう云ってくれていた納戸さん。今でも明治通りお祭り広場の街路からひょっこりとあの笑顔に出会えるような気がするよ。 合掌


納戸 健次 [Noto Kenji]
1945年/城島に生まれる。1988年/デザインルーム納戸設立1978年/九州グラフィック展示員賞(以後6回受賞)1981年/ニューヨークソサエティオブイラストレーターズ国際部門金賞1984年/久留米市芸術奨励賞 海外留学ヨーロッパ研修2004年/第60回福岡県展(会員の部)美術協会賞(以後62回・67回受賞)2007年/第63回福岡県展(会員の部)美術協会保人家20周年記念特別賞主な仕事/石橋文化センター40周年ポスター/久留米市制100年各事業ポスター/水の祭典久留米まつり/桐島酒造カレンダー/石橋文化センター50周年誌など
※(社)福岡県美術協会会報:FAS 43号より


※画像は平成3年第29回水の祭典記念手ぬぐいデザイン


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