好天に恵まれた今年の「さぎっちょ」だったが、毎年この行事のために積極的に活動している地元「枝光活性化委員会」の面々には頭が下がる。早朝からの竹の伐採やさぎっちょの組み上げはもちろん、火を焚付ける藁の確保や竹林の確保は前年からの段取りが必要だ。
あっという間に天高く噴煙を吹き上げて燃え上がるさぎっちょの炎は、子供達の目に強烈な「ふるさと」を焼きつけていくだろう。今年のさぎっちょにはアンビシャス広場でボランティアを続ける学生さんたちも何人か参加していた。彼らがいつかどこかの地に腰を降ろすとき、それがどんな行事であれ、また同じように「ふるさと」を形成するメンバーの一人一人として、情感溢れる人間の未来を育んでいく人材となって欲しいものだ。
画像だらけで恐縮ですが、興味ある方はどうぞ。
「メイキング・さぎっちょ」▼▼▼
さぎっちょの朝は竹の伐採から始まる。もちろん、勝手に切り出すわけにはいかないが、あらかじめ協力していただく竹林の持ち主へ許可を請う。近場の林から切りだした竹は畑の路を何度も何度も担いで運び出す。結構な重労働だがみんなもくもくと竹を引きずっていく。距離があるところからはクルマに乗せて運び出し、隣接する土手の上から畑に次々に降ろしていく。
真竹、女竹・・竹の種類も様々だし、若い青竹も枯竹もたくさんあるが、組み上げる竹は何でもいい。お昼前には相当な数の竹が運び込まれた。今年始めて参加したボランティアの久留米大学 BBS会の学生さんが、竹を積み込む途中でクルマから落っこちたらしい。しかし、大事無く何よりだった。 さぎっちょの芯には大きな孟宗竹が使われる。20m近くはあろうかというりっぱなものだが、これを建て込むための穴を掘る。建築現場ならクレーンを使うところだろうが、これを10数人のスタッフで人力で立て上げる。この立て方が結構アカデミックだ。 あらかじめ用意した蔓で組んだリングに補強のための番線を卷く。火がつくと燃え盛る炎であっという間にてっぺんまで焼き尽くされ倒壊するが、観客側に倒れ込まないように倒壊する方向を誘導しなければならない。そのための補強。 このリングを芯の孟宗竹に通し、三方から真竹で押し上げ誘導しながら立ち上げるのだ。真竹の先を1mくらい鉈で半分に割く。藁に焚付けた火で炙りながら、三本の真竹をリングに縛り付けていく。それにしても手際がいい。 準備が整ったら掘り込んだ穴に孟宗竹をあてがい、三方から真竹を押し上げていく。別の者は孟宗竹の高いところに張った2本の番線を引っ張って補助する。集まったスタッフ10数名全員での作業だ。 ・・・写真を撮っている場合ではない(苦笑) 立ち上がったさぎっちょの芯棒。 後はこの孟宗竹にどんどん竹を巻き付けていく。枯れた物から先に巻き付け、途中で隙間に藁を押し込んでいく。今年は、いくらか枯れ木も巻き付けていた。竹林の持ち主からついでに枯れ木も片付けていくように頼まれたとか。・・断れないよねぇ(笑) 巻き付けに使う紐は、これも畳屋さんに頼んで取って於いて貰った使用済みの畳の縁。これを何本も結わえて長い帯紐を作る。膨大な量の竹を組み込んでいく作業は結構な労働だ。皆さまお疲れさまです。 そんな作業の途中、長老格のSさんはせっせと竹で箒(ほうき)のような物を作っていた。これは、さぎっちょに年男年女が点火するための火付け棒だ。藁を適当にとって二つに束ね、箒の柄くらいの太さの竹にくるりと巻き付けていく。側に若手が座り、見よう見まねでやっているが、なかなか格好よくならない。う〜ん・・名人芸だ。 「これくらいあれば足りるやろう」と約20本の火付け棒を作った後、今度はさぎっちょの引っ張りに使っている番線に、ところどころ藁を巻き付けている。そうか、見えにくい番線に子どもや観客が引っかからないための工夫なんだ。年の功ちゃあ、こんなことを云うモンだ。 みんながひと休みしている頃には真竹でカッポ酒のための竹筒と、竹製のコップをせっせと作っていたSさん。おおかた作り終わると「来年は、誰か覚えて作らないかんばい」「なんで?」「来年、死んどるかん知れんめが」・・ブラックジョークも名人ならではだ。 組上がったさぎっちょには、地元の方達が三々五々、正月の注連飾りを持ってくる。 左議長(さぎちょう)、法検校(ほうけんぎょう)、どんど焼き、他にもいろんな云い方があるが、そういえば昔はサウスポーのことを「左ぎっちょ・ひだりぎっちょ」と云っていた。一種の差別用語だろうけど、これも語源は一緒かな。「もぐらえっし」というのもあったな。畑の作物を食い荒らす「もぐら」避けの風習だろうか。 組上がった今年のさぎっちょ。なんだか「ハウルの動く城」を連想してしまう。 今年のさぎっちょは過去最大かも?結構でかい代物となった。午後4時過ぎに点火されると、あっと云う間に炎が燃え広がり、空高く噴煙を吹き上げる。さぎっちょをご存じ無い近隣の方から「火事ではないか?」との通報が入ったようだ。 もちろん、消防署には届けは済ませているので「受理しています」と大騒ぎにはならない。それに地元消防団も消防車両と共に団員数名が現場に詰めている。 ポンポンと竹が弾ける音がけたたましく木霊し、夕焼けの空を焦がしていく。見物客にはぜんざいと福袋が振る舞われ「ぬすどんばん」がいくつも作られていく。火が熾きになる頃には焼き芋なども焼かれ、地元スタッフの労をねぎらう小さな宴が夜半まで続いていった。 |
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