惣吉のガメ煮カルキャッチファイナルイベントでは、食文化祭も行われる。

今回の食文化祭のテーマは「ガメ煮」。全国的には「筑前煮」として名が通る野菜の炊き合わせだが、何処の家庭にもある・・という意味的には、最近ブームに乗って有名になってきたラーメン、焼き鳥よりも古くからある久留米の郷土料理に違いない。

こんな事を調べる方もえらいと思うが、最近の調べではガメ煮を調理することの出来る市民の割合は約59%だという。これを調査したのは、食育推進に力を入れる市の農政部。「目標はこの数値65%に引き上げる事」だそうだ。

普段行政のことについてモノ申すときは批判的になりがちだが、こんな、思想がきちんとあって、しかし努力の結果がよく目に見えないところに努力する姿勢は大好きだ。大いに頑張って欲しいね。

食文化祭
六角堂広場 
12月8日(土)13時〜15時
「ガメ煮」。懐かしいホンモノの「ふるさとの味」を堪能してください。
12月9日(日)13時〜15時
六ツ門再生委員会により、これも地元名物「だご汁」が提供されます。
※食文化祭は有料です。食品が売切れ次第終了になります。ご了承下さい。
協力/萃香園・まつげん・惣吉・久留米市食生活改善推進会・JAくるめ女性部
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OpenSesame! 食文化祭


ガメ煮のエッセンス
昔は何処の家庭にもあり、正月など祝祭日には必ず作られていたのが「ガメ煮」だ。一昔前は結婚式場の煮物・蓋物は、ほとんどがこれだった。当然ながら、家庭ごとに入れる食材も味も違う。そして、実はその見た目よりも作り方はものすごく手間暇がかかる。
見た目には決して美しくない?野菜のごった煮のようなガメ煮。大体がその名前の由来も「がめくる:かきあつめる。一緒くたにする。独り占めする。貯め込む・・」などという方言なのだが、何でも一緒くたに煮てしまえば良いというものではない。

大方の食材は、牛蒡・蓮根・人参・蒟蒻・里芋等の野菜と鶏肉。彩りには絹鞘や隠元等を使い、さらに針生姜を天盛りする。

料理好きな人はお気づきかも知れないが使う野菜は全て、根菜類。根菜類というのはそれぞれ癖があり、アク抜きも必要だ。さらに煮え上がる時間も違うし、求められる食感だって違うのだ。蓮根はさくっと噛みきれる歯ごたえが必要だし、里芋は決して煮崩れさせず、しかしもっちりとして味が滲み込んでいなければならない。

これらを全て満足させようとすると、それぞれの野菜ごとに下煮が必要になる。そして唯一使われる鶏肉だが、ダシとして味が出るのは鶏ガラなどの骨付き肉。食べるときには、骨無しが食べやすいけどね。

昔やっていた料亭風の炊き方を記述してみる。

まずそれぞれの野菜を下煮しておく。大降りの鍋でまず鶏肉を蹴る(炒める)。6割がた火が通ったら、火が通りにくい野菜を順次入れ、さらに蹴る。まずは牛蒡・蓮根など。ちなみにこれらの野菜は全て大きさを揃えた乱切り。それから蒟蒻は包丁を使わず、お玉などでちぎるように割っていく。こうしないと味が乗らない。

鍋をまわし(大鍋の両手を掴んで、中華鍋を振るようにして食材を混ぜ合わせる。形崩れを防ぐため直接鍋にお玉や木杓子は突っ込まない)、よく混ざったら、あらかじめ引いておいたダシを入れる。ダシはカツオ、昆布で取った白だし。あまり入れすぎない。

これから煮込みに入るが、まずは砂糖の量を決める。次に醤油、みりん。この時点でタイミングを見てはじめて里芋を入れる。里芋に求められる食感を維持し、味を滲み込ませるためにはデリケートさが大事(笑)

ところで煮物というものは、強火で炊きあげているときには食材に味はつかないものと思った方がいい。加熱すると、浸透圧の関係で味は食材からダシの方へどんどん出ていく。火を落としてはじめて、ダシに出ていた混在した味が食材の方へ戻っていく。

別に科学的に実験したわけではないけど、経験上、煮物の基本はこの「さます」という工程にある。さまし、寝かせてはじめて食材それぞれに玄妙な味が滲み込む。煮物上手な人というのは、カンでこれが解っているものだ。

さて、作り方はこれでおしまい。冷えていても美味しいものだが、温かい方がよければ温め、絹鞘や針生姜を天盛りにして出来上がりだ。

料亭や料理屋のガメ煮に批判的な輩に云わせると「色が白い、味が上品すぎる」とか云うことになるのだが、品の良さを求めて薄口醤油に頼れば、いきおい甘味・旨味を砂糖・みりんに頼りがちになる。だからといって家庭でのように濃口醤油だけで焚けば、お望み通り?真っ黒に(苦笑)

わたしは濃口は色づけ・味の足し算と思っている。

さらにそれぞれの野菜の下煮だが、アクが残れば当然堅さも残り美味しくないが、やりすぎると野菜そのものの滋味をなくし、形崩れの要因になる。

・・・どうです、奥が深いでしょ、ガメ煮って(笑)


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